東京五輪の開催に向けて2019、2020年の2年間限定で2時間前倒しのサマータイムを導入しようという動きが始まりました。
与党はお盆明けから制度設計に入り、秋の臨時国会にて議員立法の提出を目指すとのこと。
しかし、それらは恒久的な問題であるからして対処しなければならないのに対して、件のサマータイムについては2年間限定というのが引っかかります。
アントニオ猪木氏が2015年にコメントしていたように、開催日程をズラすだけじゃ駄目なのでしょうか?
8日連続の「猛暑日」という、統計開始以来の記録を更新した東京。そんなに暑い8月の東京で、5年後にはオリンピックが開催さ…
基本的な立場はサマータイムについては反対なのですが、闇雲に批判するのは嫌いとするところです。
そこで、サマータイム実装に関するメリット・デメリットを挙げながら考察していこうと思います。
サマータイム導入によるメリット
ザッと考えてみたら、以下のようなメリットが考えられました。
- 時間の前倒しによる熱中対策
- 経済の活性化
- 日本の根本的な労働意識の改革
それぞれについて意見を書こうと思います。
時間の前倒しによる熱中対策
そもそもとしてサマータイムは、主に夏の日照時間が長い高緯度地域にて活動時間を早めようという取り決めです。
これらは熱中対策や②における経済の活性化(詳しくは後述)を目的としたものであり、本来の意義であると言えるでしょう。
特に日本ではここ数年、異例の暑さを見せており、高緯度ではない国ではあるが暑さ対策は必須であると言え、サマータイム導入は有効な1つの対策です。
朝方の涼しい時間帯から活動を開始することによってまだ太陽が昇っている時間帯に終業し、炎天下での作業時間を減らせるでしょう。
経済の活性化・労働意識の改革
活動開始時間を前倒しにするということは、必然的に終了時刻も前倒しにされます。
そうすることによって時計では遅い時間を指していたとしても、日照時の余暇時間が生まれるということです。
日本人の消費縮小化の原因は、物価の上昇や平均収入の低下、終身雇用や年功序列と言った旧社会的な制度の瓦解による保守姿勢への走りなどが挙げられます。
このような労働体制は取り組まなければならない問題です。
しかし、日本人の特性とでも言いましょうか
といった現実逃避的保守思考が根底にある気がしますので、土台となる旧態依然とした思想・土壌からの根本的改革が必要だと考えています。
その一環で強制力としてのサマータイム導入ならば、有益だと思います。
サマータイム導入によるデメリット
こちらが僕の意見となりますが、実施することによって考えられるメリットは以下です。
- 体内時計とサマータイムの齟齬
- 日本中のシステムを書き換える必要性
これらについての考えを述べていきます。
体内時計とサマータイムの齟齬
時間とは概念的なものですが、それでも我々は時計を基準に行動をしています。
しかしこれが急に2時間ズレるとなると、齟齬が生じます。
記憶に新しい洞爺湖サミットではサマータイム導入における睡眠不足や時差ボケの誘発なども俎上に上げられました。
これらが生産性の低下や健康被害を招くのは明らかであり、これを許容してまでサマータイムを導入する必要があるのか、と疑問に思わざるを得ません。
日本中のシステムを書き換える必要性
サマータイム是非における最も核心的な問題がこれだと思います。
冒頭で若干触れた2000年問題や2038年問題では、システムの書き換えに多大な労力と費用が掛かります。
どのくらいのリソースが必要なのかは想像もつきませんが、莫大であることは間違いないでしょう。
これらをたった2年間のサマータイム導入のために費やすのはどうなんだ?というのが正直なところです。
ですので、2年間限定という条件さえなければなくはないのかな、とも思います。
サマータイムを導入するなら期限を設けるな
2年間限定ではなく、とりあえず実施してみて有効性を確かめるというのはどうでしょうか。
有効そうであれば毎年夏の一定期間をサマータイムの導入することによって年々恩恵は増大していき、いつかは投入以上の返還があります。
端緒は五輪対策かもしれませんが、それ以降の継続を見込まないならば唾棄すべき提案でしかありません。
与党には日本にとって有益な判断・対策を望みたいですね。